全学共通教育における学部別履修状況の分析 ─学問基礎科目・主題Bを中心に─

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Title
全学共通教育における学部別履修状況の分析 ─学問基礎科目・主題Bを中心に─
Title Alternative
An Analysis of the Student Registration for Classes in General Education -- Focusing on the Academic Core Subjects and Theme B --
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Description

 香川大学全学共通教育では、2010年(平成22年)に香川大学版の「21世紀型市民」育成のために共通教育スタンダードが制定され、2012年(平成24年)から完全実施されることになった。本稿の課題は、「学問基礎科目」や「主題科目B」(以下主題B)がその共通教育スタンダードを達成するものとなっているかを検証することにある。
 香川大学共通教育スタンダードは次の五点である(香川大学大学教育開発センター 2013)。
 ① 21世紀社会の諸課題に対する探求能力
 ②課題解決のための汎用的スキル(幅広いコミュニケーション能力)
 ③広範な人文・社会・自然に関する知識
 ④地域に関する関心と理解力
 ⑤市民としての責任感と倫理観
 このうち、「学問基礎科目」に関わるスタンダードは③であり、その到達基準は「人類の文化、社会および自然についての幅広い知識とともに、学部専門課程を進んでいく上で必要な学問的基礎を身につける」と定められている。従って、現行の「学問基礎科目」がこの到達基準に則したものかどうかが問われることとなる。この到達基準は二つに分けられる。
 1)人文・社会・自然に関する幅広い知識を身につける
 2)学部専門課程を進む上で必要な学問的知識を身につける
 2)については、さらに次の二点に分けて考える必要がある。
 2-1)ここで言う「学問的知識」とは、学生が学部で学ぶ専門科目の基礎を直接指すのではなく、専門科目と関連のある他の学問領域の知識を指している。前者は各学部の専門基礎科目の課題である。「学問基礎科目」は、その分野を専攻しない学生を主な対象にして、それぞれのディシプリンに固有の学問対象と方法論を理解させ、「その学問領域の意義や面白さを伝えることを主眼」としている(『全学共通科目教員ハンドブック』2013年度版、7頁)。現代社会においては、専攻する専門分野の学問的知識の習得だけでは不十分で、複数の学問領域の方法論や知識に関する基礎をもつことが求められ
ている。単なる幅広い知識ではなく、ディシプリンの基礎としての幅広い知識が、学部専門課程を進む上で必要な学問的知識である。
 2-2)自然科学系のいくつかの学問基礎科目の場合、今後学部での専門教育を受けるのに必要な基礎知識を習得する役割、および場合によってはリメディアル教育(補習教育)的な役割を担う。これは、高校までの教育との関連から生じたもので、専門学部の専門基礎科目との関わりも問われることになる。
 以上のことから、「学問基礎科目」が上記の1)と2)を満たしているかどうかが問題となるであろう。その場合、個々の授業科目において上記の点が考慮されて講義がなされているかどうかという問題と全学共通科目が制度としてそれに対応したものとなっているかという問題とに分けて考える必要があろう。本稿の直接の課題は後者にある。このため、本稿では、学生が実際にどのように複数の「学問基礎科目」を受講しているかを分析することにした。共通教育スタンダードの到達基準で言えば、できるだけ、幅広く「学問基礎科目」を受講していること、しかも人文科学、社会科学、自然科学に広く及んでいることが望ましい。その実態はどのようなものか、文系学生と理系学生とでは異なった傾向や課題があるのかどうか、またそこからどのような課題が導き出されるかが本稿の中心となる。以下の分析において学部ごとに履修パターンが異なるかどうかといったことも扱われるであろう。この学生の履修パターンに大きな影響を与えるのが卒業要件である。卒業要件は1)と2)を保証するものでなければならない。ところで、今回分析の対象とした各学部の卒業に必要な「学問基礎科目」の単位数の扱いは表1の通りである(香川大学 2012)。

表1 各学部における卒業に必要な学問基礎科目の単位数(2012 年度入学生)
教育学部    4単位以上   ×教育学
法学部     6単位以上   ○哲学・論理学・倫理学・心理学・社会学・歴史学・経済学・経営学・
                地理学・統計学
                ×法学・政治学
経済学部    6単位以上   ×経済学・経営学・統計学
医学部医学科  14単位以上   ◎数学E・物理学E・化学C・生物学C
                ×医学
医学部看護学科 8単位以上   
工学部     8単位以上   ○数学・地学・物理学・化学・生物学
                ×情報科学
農学部     4単位以上   ◎化学・生物学

注)◎ = 必修科目 ○ = 選択科目(学部指定の科目) × = 卒業要件として認めない
             『全学共通科目教員ハンドブック』2012年度版、7頁

 本稿の分析は、各学部が卒業に必要として定めている「学問基礎科目」をめぐる単位数が適切かどうかの一つの判断材料も提供できるのではないかと思われる。
 あわせて、主題Bとの関連についても考えてみたい。主題Bは、主に共通教育スタンダードの「①21世紀社会の諸課題に対する探求能力」に関わるが、③とも密接な関連があるからである。
 以下、検討に用いたデータの記述、学問基礎科目と主題Bの学部別履修者数と履修基準との関係、学問基礎科目の学部別履修状況、専門基礎的な科目を除いた学問基礎科目の学部別履修状況、人文社会科学系科目と自然科学系科目の学部別履修状況の特徴、主題Bの学部別履修者数の検討、の順で論じていきたい。

Author
著者 寺尾 徹
著者(ヨミ) テラオ トオル
著者(別表記) TERAO Toru
著者 中谷 博幸
著者(ヨミ) ナカタニ ヒロユキ
著者(別表記) NAKATANI Hiroyuki
Publication Title
香川大学教育研究
Publication Title Alternative
JOURNAL OF HIGHER EDUCATION AND RESEARCH KAGAWA UNIVERSITY
Volume
11
Start Page
27
End Page
41
Publisher
香川大学大学教育開発センター
Publisher Aalternative
Center for Research and Educational Development in Higher Education, Kagawa University
Published Date
2014-3
ISSN
1349-0001
NCID
AA1197154X
Resource Type
Departmental Bulletin Paper
Language
jpn
Text Version
publisher
Set
香川大学
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