連辞関係についての明示的知識が第二言語習得において果たす役割

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Title
連辞関係についての明示的知識が第二言語習得において果たす役割
Title Alternative
Roles of Explicit Knowledge of Syntagmatic Relations in Second Language Learning
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Description

 第二言語習得を成功させるためにまず大切なのは理解可能なインプットに触れることである。Krashen(1981、1982、1985)が繰り返し主張しているように、第二言語習得のプロセスにおいて最も大きな役割を果たすのは大量のインプットに触れてその内容を理解することである。
 アウトプット仮説(Output Hypothesis)を提唱しているSwain(2005)もインプットが第二言語習得において重要な役割を果たすことについては異を唱えていない。アウトプットが学習プロセスであるかどうかという点で両者の意見に違い見られるだけである。
 Swain はアウトプットの持つ機能として「気づき機能」、「仮説形成・検証機能」、「メタ言語的機能」の3つを挙げている。さらにアウトプットは、言語形式への効率の良いアクセスをもたらすという機能も持っている。しかし筆者が知る限り、アウトプット自体が学習者の中間言語の発達に貢献することを実証した研究は存在しない。
 白井(2012)が指摘しているようにコミュニケーションのために英語を使用する能力育成のためのカギは「大量のインプットと少量のアウトプット」である。授業においてはインプットとアウトプットの両者が必要であると考えるべきであろう。
 では第二言語習得において、連辞関係についての明示的知識はどのような役割を担っているのであろうか。連辞関係についての明示的知識とは所謂、文法知識のことである。言語を構成する単位である文(sentence)は構造であり、その構造は規則を持っている。例えば英語は、「主語+動詞+目的語」という語順を取るという規則を持っている。文中における語は無秩序に並べられているのではない。語と語の間には規則、つまり関係が定められている。この文中における語と語の関係のことを連辞関係(syntagmatic relations)と呼ぶ(佐久間、加藤、町田 2004)。
 日本における伝統的な英語の授業では、文法説明や文操作は英語学習の重要な部分とみなされていた。その後、コミュニケーション重視の考え方の台頭とともに文法中心の指導は批判の対象となった。しかしその後、文法軽視の風潮に対する批判が高まり文法重要論が再燃している。
 平成25年度より実施された『高等学校学習指導要領』では「文法については、コミュニケーションを支えるものであることを踏まえ、言語活動と効果的に関連付けて指導すること」、「コミュニケーションを行うために必要となる語句や文構造、文法事項などの取扱いについては、用語や用法の区別などの指導が中心にならないよう配慮し、実際に活用できるよう指導すること」と言語使用の実際を鑑みた記述がなされている。
 日本のように英語が外国語として用いられている国の場合、学習者が触れるインプットの量は限られている。多くの学習者は授業外では日常的に英語に触れる機会が無いのが現実であろう。このような環境では、学習者が大量のインプットを処理して帰納的に規則を理解するということは期待できない。むしろ連辞関係についての知識を明示的に与えることによって効率的なインプット処理を促すべきであろう。
 本論文の目的は連辞関係についての明示的知識が第二言語習得においてどのような役割を果たすのかを明らかにすることである。この部分を明らかにせずに文法指導の是非を議論しても無意味である。連辞関係についての明示的知識を獲得することによって学習者にどのようなメリットがあるのかを明らかにする必要がある。
 この目的のために本論文はまず筆者がこれまでに行った2つの調査研究を紹介する。その次に第二言語習得のプロセスを確認する。最後に2つの調査研究によってもたらされた知見と第二言語習得のプロセスを考慮した上で、連辞関係についての明示的知識が第二言語習得においてどのような役割を担うのかを明らかにする。

Author
著者 岩中 貴裕
著者(ヨミ) イワナカ タカヒロ
著者(別表記) IWANAKA Takahiro
Publication Title
香川大学教育研究
Publication Title Alternative
JOURNAL OF HIGHER EDUCATION AND RESEARCH KAGAWA UNIVERSITY
Volume
11
Start Page
43
End Page
54
Publisher
香川大学大学教育開発センター
Publisher Aalternative
Center for Research and Educational Development in Higher Education, Kagawa University
Published Date
2014-3
ISSN
1349-0001
NCID
AA1197154X
Resource Type
Departmental Bulletin Paper
Language
jpn
Text Version
publisher
Set
香川大学
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