TOEIC得点と試験のない通常授業における語彙の保持率との相関 ─遅延条件下での測定結果と問題点─

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タイトル
TOEIC得点と試験のない通常授業における語彙の保持率との相関 ─遅延条件下での測定結果と問題点─
タイトル(別表記)
The Correlation between TOEIC Scores and Vocabulary Retention in Regular Classes without Imposing Tests: Delayed Measurement and Associated Problems
ファイル
内容記述

 現在多くの大学で、テキストを使用した英語の授業が多様な形態で実施されており、このような授業形態の効果に関する研究やテキストの開発は数多く行われてきている。しかしながら、近い将来のテストや試験を前提としない通常の授業において、ある単元が終了し相当の時間が経過した時点で、学習者がその単元のトピックの語彙や概念をどの程度保持しているのかという素朴な疑問に関しては、ほとんど興味や関心が向けられてこなかった。また、この疑問に答えられる先行研究もない。しかしながらこの疑問は、多くの教員が授業ごとに意識する問題であり、日常の授業の質や方法論が問われる問題でもある。この疑問はまた英語の場合、学習者の内部で生起する、あるトピックの語彙や概念が英語で構成される心的過程を検討する問題でもある。さらにこの疑問を検討することで、現在多くの大学で検討されている新たな学期制度を議論する上で、遅延時間を経た学生の実質的な学習効果や保持レベルを検討する基礎的なデータとなり得る。
 通常、学習者は定期テスト等の試験が課されない限り、終了した単元の内容を意識的にリハーサルすることは、ほとんどないと考えられる。このようなリハーサルが行われない条件下における学習項目の保持メカニズムの検討は、同時に時間経過に伴う忘却のメカニズムの検討でもある(Wixted,2004)。学習した項目を想起する再生レベルは、記銘の強さや手がかりの数に応じて変化することが知られている(Tulving & Thompson, 1973; Craik & Tulving, 1975)。本稿では教員による授業の多様性やそれらの効果を論じるのではなく、そのような多様な授業を通してあるトピックが終了した時点で形成される語彙と概念、およびその保持メカニズムに焦点を当てた。
 本稿では上記の目的を検討するための実験要因計画として、ある単元の終了後に何らかのタスクを課すことなく、次の単元に移行する場合(Session 1) と、単元の終了後に内容と語彙の整理を行うタスクを課した場合(Session 2) の2種類の実験的な形態を設けた。またテキストの内容レベルも、親しみのある内容の単元とそうでないもの2水準を設定した。そしてある単元が終了し相当の時間(3週間)が経過した時点で、学習者に該当の単元のトピックに関する語彙の再生を求めた。いずれの形態でも語彙再生が実施されることは、学習者には事前に知らされていなかった。本稿ではこのように、2種類の授業終了形態を設定し、学習者のトピックに関する語彙の保持レベルは、相当の遅延時間が経過した場合、現実的にはどのようなものなのかをトピックに関する学習者の再生語彙数を指標に、TOEICの得点およびテキストの親密度(難易度)を操作し検討した。今回の実験では、ある単元の学習に際し、学習者によって異なる英語の統語能力や読解力は、3週間という限定された通常授業の実験期間内では、学習者内で変化せず一定であると仮定し、要因計画の交絡因子とはみなさなかった。なお本稿では通常の授業の一定期間を設定し、 その期間に実施された通常の授業を実験、 学生を参加者(学習者)と称した。

著者
著者 木戸口 英樹
著者(ヨミ) キドグチ ヒデキ
著者(別表記) KIDOGUCHI Hideki
著者 スティーブ ヒル
著者(ヨミ) スティーブ ヒル
著者(別表記) Stephen HILL
掲載誌
香川大学教育研究
掲載誌(別表記)
JOURNAL OF RESEARCH IN HIGHER EDUCATION KAGAWA UNIVERSITY
13
開始ページ
55
終了ページ
66
出版者
香川大学大学教育基盤センター
出版者(別表記)
Higher Education Center,Kagawa University
出版年月日
2016-3
ISSN
1349-0001
NCID
AA1197154X
資料タイプ
紀要論文
言語
日本語
出版社版
区分
香川大学
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