大学生の問題行動防止を目的とした動画制作と授業実践

( Max 2000 Items )
URI http://shark.lib.kagawa-u.ac.jp/kuir/metadata/28423
Title
大学生の問題行動防止を目的とした動画制作と授業実践
Title Alternative
Preventing Students' Problem Behavior through Videos and Class Activities
File
Description

■調査研究

はじめに

 香川大学では、平成23年度より「市民としての責任感と倫理観」の育成を目的とした全学共通科目主題A「人生とキャリア」が必修化されている。その到達目標は、「社会において自己が果たすべき役割や、市民としての責任ある行動について理解を深め、そこから自己や社会の未来について考えることができる」とされる。主題Aの新設をはじめとした当時の全学共通教育カリキュラムの改編の背景には、中央教育審議会答申『学士課程教育の構築に向けて』に記載された「21世紀型市民」にふさわしい「学士力」の考え方があった(武重ほか、2011)。すなわち、「知識基盤社会」の到来を前提とし、「専攻分野についての専門性を有するだけでなく、幅広い教養を身に付け、高い公共性・倫理性を保持しつつ、時代の変化に合わせて積極的に社会を支え、あるいは社会を改善していく資質を有する人材」(『我が国の高等教育の将来像』)である「21世紀型市民」の育成を掲げ、行われたカリキュラム改革だったといえる。
 他方、実際の運用にあたっては、異なる側面からも効果が期待されるようになる。不祥事対策としての主題Aの活用である。藤本(2015)が指摘するように、2000年以降、大学生の不祥事が社会問題として取り沙汰されるようになり、本学でも主題Aにおいて学生の社会的責任や倫理観の育成が求められるようになった。
 確かに、香川大学生が不祥事を起こしたのであれば、その対応策が大学に求められるのは理解できるし、それを授業で行うのであれば、全学必修科目である主題Aが妥当なのだろう。しかし、主題Aで扱われる「市民としての責任感と倫理観」の育成は、単に「~してはいけない」という規範意識を伝えるだけの授業になってはならないはずである。大久保(2011)が指摘するように、規範意識がないから問題行動を起こすわけではなく、それらは分けて考える必要がある。また、現在の道徳教育が、教員の想定している"答え"を あてるゲームになっているという指摘(松下、2011)もあり、そうしたゲームを続けてきた学生たちに規範意識を教えても、表面的に対処される可能性が高い。そうではなく、主題Aが新設された当初の理念に沿って、あくまで"シティズンシップ教育"を目指した授業の一環として、学生の不祥事を扱うべきではなかろうか。
 こうした考えを持ちながら、第一筆者が主題Aの授業を担当していたところ、香川大学生の問題行動防止を目的とした動画制作の協力依頼があった。入学式において新入生に視聴してもらうことを目的とした15分程度の動画が必要なのだという。そこで、動画制作の目的を大きく二つに設定し、依頼を引き受けることにした。すなわち、①身近な問題行動によって大学生活を台無しにしないよう伝える事、②問題行動を起こす友人との関係を考える必要性を伝える事、の二点である。①は、不祥事対策を念頭に掲げた目的である。何が問題行動に該当し、それをすればどうなるのかを具体的に伝えることを目指した。一方の②は、"シティズンシップ教育"を念頭に掲げた目的である。友人が問題行動を起こすと仮定したときにどのように関わるのかを考えてもらうことを目指した。それぞれ、①は入学式での動画視聴で、②は動画を教材とした90分の授業で学生に伝えることを想定した。
 本稿では、この二つの目的に従って制作した動画とそれを用いた授業実践について報告し、動画に対する評価を検討する。以下では、制作した動画の内容と企画意図(第二節)を述べ、動画視聴者を対象として実施したアンケートの調査目的(第三節)、調査方法(第四節)、調査結果(第五節)について説明した後、動画を用いて行った授業実践(第六節)を紹介し、全体を通した考察(第七節)を行う。

Author
著者 西本 佳代
著者(ヨミ) ニシモト カヨ
著者(別表記) NISHIMOTO Kayo
著者 大久保 智生
著者(ヨミ) オオクボ トモオ
著者(別表記) OKUBO Tomoo
Publication Title
香川大学教育研究
Publication Title Alternative
JOURNAL OF RESEARCH IN HIGHER EDUCATION KAGAWA UNIVERSITY
Volume
15
Start Page
109
End Page
118
Publisher
香川大学大学教育基盤センター
Publisher Aalternative
Higher Education Center,Kagawa University
Published Date
2018-03
ISSN
1349-0001
NCID
AA1197154X
Resource Type
Departmental Bulletin Paper
Language
jpn
Text Version
publisher
Set
香川大学
Copyright (C) 2009 Kagawa University All rights reserved.