授業外学修時間は地域社会で求められる人材の育成にどの程度寄与しているのか ─学生による授業評価を用いた検証─

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タイトル
授業外学修時間は地域社会で求められる人材の育成にどの程度寄与しているのか ─学生による授業評価を用いた検証─
タイトル(別表記)
How does Extra-Class Education Contribute to Students' Development as Community Citizens? - What Course Evaluations from Students Reveal
ファイル
内容記述

はじめに
 中央教育審議会答申「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて-生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ-」(2012)が出されて以降、学修時間の確保・増加は、各大学にとって取り組まなければならない重要な課題のひとつとして認識されるようになった。学修時間のひとつの目安は、大学設置基準に示されている。大学設置基準には、1単位の授業科目を45時間の学修を必要とする内容をもって構成することを標準とすると定められている。卒業要件から換算すると、学期中の1日当たりの学修時間は8時間程度になるようである。しかし、東京大学が2007年に行った調査によれば、1日当たりの学修時間は4.6時間(授業・実験への出席2.9時間+授業・実験の課題、準備・復習1.0時間+卒業研究・実験・卒論0.7時間)と、8時間には遠く及ばないのが現状である。
 大学設置基準で定められた要件が無視されているこのような現状を打破し、それを「極力」実質化していこうとするのが上記答申のねらいであったといえる。葛城(2013)は、「今後、文部科学省等が各大学の積極的な取組を資源配分の際の参考資料のひとつとする可能性もあるため、各大学は本腰を入れてその実現に取り組んでいかざるをえないことになっていくだろう」(葛城、2013、105頁)と指摘していたのだが、その時は早くも訪れた。すなわち、国立大学では、第3期中期目標・中期計画の策定にあたり、文部科学省から「国立大学法人の組織及び業務全般の見直しに関する視点」が示され、ここに示された内容を盛り込むことが強く求められたのだが、そこには「質を伴った学生の学修時間の確保・増加」が、「能動的学習(アクティブ・ラーニング)や科目番号制(ナンバリング)等の導入」に次いで挙げられていたのである。
 この点をふまえて本学でも、「自ら考え、学ぶことの意義を理解し、主体的に学ぶ意識を養成するため、授業外学修を伴うアクティブ・ラーニングに関するFDプログラムを増加させるなど、アクティブ・ラーニングの支援体制を強化し、1週間の授業外学修時間5時間以内の学生の割合を第2期中期目標期間末と比較して50%以上減とする。」という中期計画を掲げている。この文言だけをみると、授業外学修時間を増加させること自体が目的のようにみえてしまう。しかし、この計画は、「地域社会で求められる人材を育成するために、正課・正課外教育を充実させる。」という中期目標を実現するための手段に過ぎない。すなわち、授業外学修時間を増加させたとしても、それが地域社会で求められる人材の育成に寄与するものでなければ、何の意味もなさないということである。
 そこで本稿では、第3期中期目標・中期計画が始まる前の時点で、授業外学修時間が地域社会で求められる人材の育成にどの程度寄与していたのか、明らかにしたい。具体的には、全学共通科目の個々の科目単位で行われる「学生による授業評価」で得られたデータを用いて、授業外学修時間が(地域社会で求められる人材の育成を目指して設けられている)個々の科目の到達目標の達成や科目群の到達基準の達成にどの程度寄与していたのかについて明らかにしたい。そして、そこで得られた知見をふまえた上で、全学共通科目における授業外学修のあり方等について考察したいと考える。

著者
著者 葛城 浩一
著者(ヨミ) クズキ コウイチ
著者(別表記) KUZUKI Koichi
掲載誌
香川大学教育研究
掲載誌(別表記)
JOURNAL OF RESEARCH IN HIGHER EDUCATION KAGAWA UNIVERSITY
14
開始ページ
65
終了ページ
75
出版者
香川大学大学教育基盤センター
出版者(別表記)
Higher Education Center,Kagawa University
出版年月日
2017-03
ISSN
1349-0001
NCID
AA1197154X
資料タイプ
紀要論文
言語
日本語
出版社版
区分
香川大学
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