地震・津波に対する重力式海岸護岸と櫛形鋼矢板壁構造の性能設計に関する研究

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地震・津波に対する重力式海岸護岸と櫛形鋼矢板壁構造の性能設計に関する研究
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内容記述

本論文の概要
 本論文は,南海トラフを震源とする地震・津波対策としての海岸護岸整備をより早く合理的に進めるために,重力式海岸護岸の照査基準の合理化という観点と,低コストで整備できる海岸保全施設の地震・津波対策工法の開発という二つの観点から研究を行ったものである.
 以下に,各章における研究成果の概要を示す.
 第1章では,南海トラフを震源とする地震・津波の切迫性について,既存の資料などから整理し,早急に海岸護岸の整備が必要であることを考察した.さらに,本研究の目的とする「海岸護岸の合理的な設計手法の開発」と「低コストで整備できる海岸保全施設の地震・津波対策工法の開発」が必要であることを述べるとともに,開発する工法として櫛形鋼矢板壁構造を選定したことを記した.
 第2章では,海岸保全施設の技術上の基準・同解説と港湾の施設の技術上の基準・同解説の記述を比較検討した.港湾区域内の海岸保全施設の設計においては,港湾の施設の技術上の基準・同解説を主に用いて,必要に応じて海岸保全施設の技術上の基準を参照することで適切な設計ができることを明らかにした.
 第3章では,本研究でケーススタディとする撫養港直轄海岸保全施設整備事業の事業概要,設計条件,事業目的および性能規定をまとめた.その過程で,港湾の施設の技術上の基準・同解説によって当該事業の護岸の要求性能を整理すると護岸の損傷程度として耐震強化施設(特定)が該当すると考えられること,津波を伴わないレベル2地震動(中央構造線地震)に対する要求性能と津波に対する使用性(津波による浸水の抑制)を考慮すると耐震強化施設(特定)よりも変形量の限界値を大きく設定できる可能性があることを明らかにした.
 第4章では,1995年兵庫県南部地震の港湾被害を分析し,長い延長を持つ海岸護岸の中間部分を対象として,津波に先行する設計地震の照査基準について考察した.その結果,1995年兵庫県南部地震のコンクリート重力式の護岸や岸壁の被害において,隅角部における極端な変位の抑制効果を受けない箇所については,施設の最大水平変位量と函塊の最大目地ずれ量の関係は概ね2:1であることを明らかにした.これを踏まえて,コンクリート重力式の海岸護岸の設計地震に対する残留変形量を護岸天端幅の2倍とする照査基準を提案した.
さらに,延長の長いコンクリート重力式の護岸の中間部分について,目地開き量を推定する手法を提案した.また,提案した照査基準に基づく海岸護岸の改良設計のフローと設計事例を示した.
 第5章では,櫛形鋼矢板壁の動的遠心載荷実験と2次元有効応力解析を行い,実務に即したパラメータ設定による解析により,模型実験で櫛形鋼矢板壁に発生したモーメントの解析を行った.櫛形鋼矢板壁の動的遠心載荷実験では櫛部を通じて液状化した砂のすり抜けが生じていること,このすり抜けによって,櫛形鋼矢板壁に作用する土圧は小さくなると考えられることを示した.また,2次元有効応力解析FLIP ROSE 2Dを用いた解析において,櫛形鋼矢板壁の曲げモーメントの解析に適用可能な地盤と櫛形鋼矢板壁の境界条件を見出した.
 第6章では,櫛形鋼矢板壁の矢板法線方向の伸縮を照査に加味するための要素技術として,水平方向に加速度を加えた線形弾性解析で断面変化部付近の水平変位の変化を計算する手法を研究した.その結果,2次元と3次元の弾性解析を併用した簡易な計算において,構造の異なる施設あるいは異なる断面間の境界付近に発生している平均的なせん断ひずみに,水平方向変位と鉛直方向変位によって発生が予測されるせん断ひずみの値を考慮して弾性係数の低減を行うと,被災事例を良く説明することを明らかにした.
 第7章では,実在する海岸保全施設の地盤改良が困難な区間に対して櫛形鋼矢板壁工法の照査基準を考察し,櫛形鋼矢板壁構造の試設計を行った.その結果,櫛形鋼矢板壁構造の適用が可能であることを明らかにした.
 第8章では,本研究で得られた知見を要約し,本研究の成果をまとめた.

著者
著者 小泉 勝彦
著者(ヨミ) コイズミ カツヒコ
著者(別表記) Koizumi Katsuhiko
資料タイプ
学位論文
言語
日本語
博士論文(全文を含む)
学位授与番号
博甲第126号
学位授与年月日
2017-09-29
学位名
博士(工学)
学位授与機関
香川大学
区分
香川大学
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